開業を検討される先生方がまず思い立つのは、「どこで開業すれば上手くいくだろうか?」ということでしょう。運がよければ、すぐに開業エリアを決定できますが医療機関も飽和ぎみの昨今では、正直、なかなか決定打に欠けます。
時には1年、2年を経てやっとの思いで決めた開業エリアでテナントを探し出すと・・・なんと!すぐに希望の広さのテナント情報を発見。
不動産業者さんは「今すぐ申し込めば、オーナーさんも医療機関に貸したい意向があるので優先的にお借りいただけます。他にも希望者がいますので仮のお申込だけでもお急ぎください」・・・。
こんな営業トークにそのまま流される方は少なくないかもしれませんがちょっとだけ待ってください。
いくつか確認すべき最低限のポイントがあります。
不動産登記簿謄本を取得しましょう
基本ですね。
不動産登記簿謄本を取得することで「所有者」「広さ」「築年数」「構造」等の基本情報の確認や「その物件が所有者の担保として銀行等に提供されているものかどうか?」「所有者が税金を納めておらず差押されている物件かどうか?」等の重要な情報を確認できます。
不動産登記簿謄本は、ご自身でもその物件を管轄する法務局で取得できますし司法書士に依頼してもいいでしょう。もちろん、当社でも代行して取得は可能です。
オーナーさんについて知りましょう
個人オーナー編
これも改めて申し上げるまでもなく皆さんが気にするところですね。しかし、どこまで知ればいいのでしょうか?
オーナーさんが個人の場合、まずは職業。そしてご年齢。人柄は、ご自身でお会いして判断すべきでしょう。業者さんに聞いても悪くは言いませんので。
特にご注目頂きたい情報は、ご年齢。かなり高齢の方も少なくありません。
なぜ、年齢が重要か。人間、いつかはお亡くなりになり通常は相続という形で子孫方々に当該テナント物件も引継がれます。さて、引継いだ子孫方々は、必ずそのまま引き続き私たちに貸してくれるのでしょうか?
答えはNO。法的に私たちが「借りる権利」を主張できるのは、基本契約期間のみであり多くのテナントの場合は、2年ないし3年程度。最悪のケースでは、開業して3年程度でオーナー側が契約更新を拒否した場合は退去するしかありません。実際には、入居者が医療機関の場合は子孫方々もそのまま借りてもらうことに大賛成なのですが、相続の際に莫大な税金が課せられ当該物件を売却せざる得ない場合に発生する悲しき事例でしょうか。
これを未然に防ぐには、当初より10年等の長期契約を提案してみるのも一手でしょう。これにより、契約更新毎の更新料(主に家賃1ヶ月分程度)を回避できるメリットもあります。(よって、渋るオーナーさんが多いのも事実で巧みな交渉が必要でしょう。)一方で、10年間はこちら側からもペナルティなしでは解約できなくなるとも言えますので、皆さんの開業パートナーとよくよくご相談・ご検討下さい。
企業オーナー編
オーナーさんが誰もが知る大企業であれば、概ね安心でしょう。ただ、この場合は家賃が「そこそこ」のお値段になる印象です。
では、聞いた事がない企業の場合はどうしましょう?すぐにできる事としては、「ネット検索」ですね。現在ならこれで企業の事業内容を概ね把握できると思います。但し、業績まではなかなか把握できない場合もあります。心配性な方は、当社等の金融機関に情報を求めても良いかもしれません。
少し脱線しますが、所有者が不動産業者さんの場合もあります。巷では、宅地建物取引業免許証番号の「( )内の数字」が少ないと危険企業とする見方もありますが業務拡大やM&Aにより「(1)」に番号が戻っている企業も少なからずありますので数字だけで一概に判断すべきではないでしょう。むしろ、「( )」の数字が大きいだけで安心できる企業とする方が安易かと思います。
現場確認は数回に分けましょう
さて、次の段階は、現場確認となります。結論から申し上げますと周りの方々に協力依頼をしましょう。
先生方ご自身が自己責任で「行ける曜日だけ」、「行ける時間帯だけ」で視察し決定する事に異論を申し上げる権利はありませんが、先生方が出向くことができる時は、つまりクリニックも開いている曜日や時間帯ではない場合が多く大きな誤算が生まれる要因になり得ます。
例えば、駅前テナント。日曜日(休日)と平日ではまるで人の流れも異なります。それのみならず、平日はテナント周りが違法自転車駐車だらけ・・・なんて事も(最近は、かなり整備されていますが依然少なくないと感じます)。他には、お昼付近から夜までかなり強烈な豚骨の匂いが広がる場合も。
また、複合テナントの場合は他の階への人の出入り量や人種、エレベーターの稼働状況などもチェックしたい点です。出来ましたら曜日・時間帯を変えて3、4回は現場確認して情報収集に努めてください。幹線道路沿いなどは大型トラックが通過するだけでブルブルと揺れるビルもありますが、あまりお奨めはできません。
契約書の雛形を確認させてもらいましょう
仮申込前でも賃貸契約書の雛形も確認したいポイントです。雛形段階ですのでおそらく家賃等の記載はありませんが、主に自分が負担すべき費用項目を把握した上で交渉していく為です。
家賃と共益費、保証金(敷金)ぐらいまでは募集広告にも記載がありますが、契約期間や契約更新料、中途解約時の違約金又は中途解約条項自体の確認(条項が存在しない契約書も稀に見かけます)、水道、電気、ガスの負担方法(テナント毎にメーターが必ず存在するわけではありません。)、町内会費その他特約条項等々確認する事は山ほどあります。
家賃だけの交渉に熱を帯びても他項目で調整が入る場合もございます。契約書に関しては、ご自身だけではなく開業パートナーにもよく精査してもらうことをお奨めいたします。
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