経営を支える診療圏
クリニック開業を考えるうえで、コストは重要な意味を持ちます。開業するためには自己資金の投入も必要ですし、借入金も考えておかなければいけません。機材のイニシャルコストを抑えるため、リースや割賦を利用することは、開業におけるデファクトスタンダードになってきています。一方で返済ということを考えた場合、機材だけではなく、どれぐらいの患者が見込めるのかなどという収入面も考えていかなければ、いくらイニシャルコストを抑えても経営は成り立ちません。この見込みを考えるうえで、開業候補地にはいったいどれだけの人が住み、どれだけ自分のサービスを利用してくれるのかを考えなければいけないのです。
仮に他にはないサービスを提供できるとしても、周りに人がいなければ多くの宣伝をして遠方からきてもらうことになります。宣伝広告費を大きくしなければいけなくなりますが、多くの患者を確保するには時間を要します。逆に人口密集地に開業するのであれば、そこまでの宣伝をせずとも浸透する可能性が高く、利用者も近いということで優位に考えることができます。この範囲を考えていくことが診療圏ということになっていくのです。
診療圏を考えるうえで、どれだけの精度にすることができるのかという問題があります。情報は正確性が高まれば高まるほど、経営にとって有益なものとして、リスクを下げることができるようになります。競合相手も知ることができるようになりますし、どんなサービスに力を入れることがいいのか方向性も見えてきます。自分の理想とする医療を行っていくことで差別化を進めることはできますが、ニーズに合わなければ経営として成り立ちません。こうしたバランスをとるためにも、診療圏を考えていかなければいけないということなのです。
数値から見える情報
診療圏というものは、いくつかの方法で分析し情報の正確性を高めていくことができます。まず、地域人口を把握する必要があります。それは診療圏内にどのぐらいの人口がいるのかということを把握することです。そのうえで、性別と年齢を分析することが大切です。成人病を得意とするのに、子供が多い地区に開業しても患者は増えることはないでしょう。その逆で、小児科を大きく打ち出しているのに高齢化が進んでいる地区に開業しても同じです。
疾病別の外来受療率も重要なデータです。ただし10万人当たりとなりますので、大きなくくりになってしまうことに注意が必要です。他にも競合医院などを調べるために、インターネットを活用したりすることも必要となります。
実際に地域人口、外来受診率、競合数がわかると、ある程度の計算ができるようになっていきます。患者数の推測をするのであれば、地域人口に外来受療率を掛けます。これで地域の患者数の総数がわかることになり、ここからどれだけ来院してくれるのかを考えていくことになります。そのためには、診療圏内の患者数を競合数で割ることである程度見えてきます。ただしこの数値は、あくまでも競合数で割っているだけですので、差別化が進んでいるような地域では、他の医院の優位性を加味する必要があります。
ここからわかることは、地域人口が多く外来受療率が高ければ予測できる数値が大きくなるということです。さらに、競合相手が少ないまたは範囲がかぶらないということを考えていく必要も出てくるのです。
診療圏を調べるために
診療圏を調査する場合、いかに精度を上げるのかがポイント問題となります。
より正確な情報を使って分析することにより、潜在化しているリスクを洗い出すことにもなるため、調査地をどこに設定するのか、はっきりと決める必要があります。これがあいまいであると正確な数値が出てきません。
調査地がわかると、競合相手も正確性を増すことになります。診療科を調べていくことで競合相手を見つけることになるため、診療実態まで掴むことが必要となってきます。こうした情報はなかなか掴みにくい部分もありますが、できるだけ正確な情報にすることが重要です。
また、公共交通機関なども考える必要もあります。地域柄の性格もあるため、ローカルな情報をどこまで掴めるかが正確性を高めます。バスがないからといって、範囲が狭くなるというわけではなかったりするのです。たとえば車で移動することが中心の地域であるのであれば、範囲はかなり変わってくるわけですが、高齢者は自転車で移動したりすることも考えなければいけないので、2つの範囲を設定することとなります。
こうした情報も精度を高めることが重要となるため、診療圏を考える場合には専門家の力を借りることが求められるのです。
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