診療圏の競合医院の調査
新規に開業を考えるドクターにとって、必要とされているのが診療圏調査と呼ばれる、医療関係のコンサルティング会社によって行われる調査です。調査において重要なポイントのひとつが、競合となる同じ診療圏内の医院に関する調査です。開業をする場所が決まっていて、ドクターにとって良く知っている場所だったとしても、診療圏にはどのくらい人口がいるのか、そして男女比や年齢構成などを細かく把握したり、医院を開業後、実際に訪れるであろうと仮定される患者さんのニーズまでは知ることはできません。
業者に依頼をすると、基本的な調査は専門のソフトを使って行われます。専門のソフトでは、数時間もかからず競合医院のリストが打ち出されますので、すぐに状況を見ることができます。ソフトでの簡易調査だけなら、無料で行われる業者もあります。ただソフトの更新が間に合わず、新規の医院や、すでに閉院された医院に関する情報は含まれていないこともあります。また、ソフトは医院が標榜している科目をそのままカウントしますが、例えば内科・小児科・外科・胃腸科と標榜しているものの、胃腸科で有名なドクターで、来院患者のほとんどが胃腸科目的であるといったことや、高齢の医師が院長で、一部の患者の往診のみしかしていないといった、細かい情報は含まれていません。特に内科は、標榜する医院がもっとも多い診療科目となるため、開業をした後になって、競合医院の調査内容が実情と違っている、という事態にならないためにも、ソフトだけではなく、競合医院のドクターがどういった分野を専門としているのか、後継者はいるのかといった、実際に即した情報の調査を行い、報告書を提出する業者を選ぶことがおすすめです。
コンサルティング業者の選び方
事前に調査を依頼していても、ソフトを使って機械的に算出した簡易的な調査結果のみを参考にしていたり、客観的な情報に乏しい調査内容が基になっていると、開業をした後に、苦境に立たされることになってしまいます。新規に開業をするドクターの他にも、来院患者が予想よりも伸び悩んでいて移転を考えているドクターにも、詳細な調査は必要となります。信頼できるコンサルティング業者を選び、依頼をするようにしましょう。
新しく医院を開業するためには、綿密な診療圏調査を行った後に、開業するのに適当だと思われるエリアを選び、そして物件を選ぶことが重要なポイントとなります。同じように見える場所でも、物件の種類によって、見込み患者数が異なってくることもあります。物件でまず考えられるのが、戸建てを使用したり、新しく建物を建て、開業をする方法です。また、雑居ビルなどにテナントとして入居をするという方法もあります。その他にも、メディカルタウンもしくは医療ビレッジと呼ばれる新しい形態も考えられます。
メディカルビルは、1つのビル、もしくは同じフロアに、いろいろな診療科目を持つクリニックが集まっている建物を指します。メディカルタウンは、1つの区画やエリアに複数のクリニックが集まっている場所を指します。複数のクリニックが集まっている場所は、患者さんにとっても1カ所でさまざまな診療科を受診することができるというメリットがあり、ドクターにとっても、施設の駐車場を使えたり、違う専門のドクターと連携が取りやすいといったメリットがあります。
診察圏の設定方法
調査にあたって、診療圏の設定は最も初めに行われます。この診療圏の設定を見誤ってしまうと、その他の調査が詳しく行われていたとしても、分析が正しくできない可能性があります。診療圏というのは、立地条件によって異なりますが、東京などの都心部の場合ですと、開業予定の場所を中心として、500メートルから1キロメートルほどだといわれています。一般的に患者さんは、受診をしたい病院を選ぶ際に、家から近い場所かどうかを重視します。徒歩の場合には、おおよそ400メートルから800メートル以内、自転車の場合には、1キロメートルから2.5キロメートルほどだと考えられます。郊外の場合には、自動車での移動がメインとなっているところも多いため、診療圏はさらに広がり、3キロメートルから6キロメートル程だと考えることができます。
実際に開業をしたクリニックを対象に行われた調査によると、患者さんの7割ほどが、徒歩でも自家用車でも、10分ほどの場所の医院に通っているというデータもあります。診療圏内の人口は、市町村などのデータをもとに算出することができますが、実は、人の流れを把握することも大切です。圏内に人口がある程度いるように思える場所でも、開業予定の場所の近くに人が居住していないと、患者さんが集まりにくくなります。
さらに昼と夜との人口の違いも重要です。患者さんが病院に行こうと考える場合には、仕事をしている方は、仕事を終えた後、自宅の近くの医院を選ぶ傾向があります。そのため、働いている人が集まる昼の人口が多くても、夜の人口が少ないと、患者さんの数に影響が出ますので、細かく人の流れを調査する業者を選びましょう。また、昼と夜の人口差が大きいエリアですと、診療時間を夜遅くまで設定するなど、開業をする場所を決定した後の決定事項にも関わってきます。
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