医療リスクマネジメントとは
近年、オフィスをはじめとした様々な現場でリスクマネジメントという言葉を耳にするようになりました。これは、2001年に経済産業省が発表したリスクマネジメントシステム構築のための指針というものと、そのためのプロジェクトに由来しています。それ以来、企業の中ではリスクマネジメントについての取り組みがされるようになっているのです。
昔から危機管理ということが言われてきましたが、リスクマネジメントというのは少し意味合いが異なります。危機管理というのはすでに起きた事柄について、そこから受けるダメージを最小限にしようという考えです。それに対してリスクマネジメントというのはこれから起きるかもしれない危険に対して事前にできる対処をしておこうという考え方です。そのため、リスクマネジメントという言葉はネガティブなものに思われがちですが、実際にはとてもポジティブな行動であると言えます。私たちの生活の中には常にリスクというものはあるものです。そこで、そのようなリスクを少しでも回避するために、日頃からの行動で予防をするというとても能動的なものであり前向きな行動であると言えます。
このような観点から、近年では医療現場でも起こる可能性のある事故や事件に対しての予防をするために、医療リスクマネジメントという考えが進められています。医療現場というのは人の命を扱う場所であり、常にたくさんのリスクを抱えています。そこで、少しでも患者にも医療従事者にもリスクを回避して安心安全な環境を整備することができるようにと推進されています。医療についての知識だけでなく、医療現場で起こりうるトラブルとその予防策を知っていることによって、医療事故を防ぐことができますし、医療に対しての取り組み方にも違いが出てきます。
医療リスクマネジメントとして取り組む範囲
近年、医療現場の仕事がハードであることや人の命を預かる責任の重さ、人員不足、医療紛争など様々なことを理由に、医療従事者を志望する人の数が減少傾向にあると言われています。しかし、医療現場も少しずつ環境改善が進んでいますし、仕事の中でも医療リスクマネジメントが進んでおり、トラブル回避のための取り組みもされています。そのため、以前に比べると飛躍的に労働環境は良くなってきていると言えます。
このような環境の改善と、医療についての考え方も変わってきています。医療技術の進化によって今は様々な病気の治療方法がありますし、寿命もどんどんと延びています。そのため、病院に行けばどのような病気でも治すことができると思われてしまうことも多く、そのような考えから医療行為についての追求がされてしまうことも多くありました。しかし、医療でも限界がありますし、ベストを尽くしても処置が間に合わないこともあるものです。そこを受け入れつつも、その時できるベストな処置をすることが重要なのです。
医療の中では起こるリスクというのは、このような患者自身の延命であったり治癒であったりというものだけではありません。病院の経営についてのリスクマネジメントや、医療そのもののリスクマネジメントというものも必要です。病院の経営が成り立たないようなことが起これば、医療を地域の人たちに適切に提供することができなくなってしまいます。また、医療事故や医療紛争といったものを起こさないために、環境や組織についても適切な配置をすることが重要です。このように医療現場でリスク回避のために取り扱う範囲というのは多岐に亘るのです。
医療リスクマネジメントで予防できること
医療リスクマネジメントとして取り扱うべき範囲として、ファイナンシャルリスクと呼ばれる経営面でのリスクとビジネスリスクと呼ばれる医療そのもののリスクとがあります。どちらも安心安全に医療を提供するにあたって取り組むべき問題であり、継続的な取り組みが重要となるものです。ファイナンシャルリスクというのは病院経営のための財政面で起こりうるリスクです。
病院経営というのは昔は政策によって保護されている部分がありましたが、今では一般企業と同じように経営体制を整える必要があります。そこで、日頃から内部監査を行ってしっかりとコスト管理をすることが必要となっているのです。医療従事者のみではマネジメントが難しいと判断すれば外部から人を招き経営管理をしたり財政面でのアドバイスを受けたりするのも重要です。
ビジネスリスクというのは医療事故や医療紛争といったものを予防するために行うリスクマネジメントです。事故を防止するために医師や看護師の医療知識を身につけたり技術を身につけたりするための機会を設けたり、チーム医療の態勢を整えたりすることがリスクマネジメントにつながります。
また、医師や看護師のミスを防ぐためには記録をきちんとつけたり、備品管理の徹底をしたりということも重要ですが、施設内の設備を整えたり人員を確保したりということも重要です。多忙になり一人当たりにかかる負担が大きくなればその分疲労も蓄積しますし判断能力が鈍る可能性もあります。そこで、勤怠管理についてもしっかりと行い、十分な休養が取れる体制を整えることもリスクマネジメントとして大切です。
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