診療圏調査は何のためにある?
診療圏調査とは、わかりやすく言うとその地域においてどの程度の患者が入るのかを推察するために集計データを集めるという行為で、どの地域が開業するのに向いているのかを予測することができるものです。いわゆる1日にどれくらいの外来患者数が見込めるかを推測するために役立つデータとなっているので、これから開業しようと思っている方々には間違いなく役に立つものと言えるでしょう。机上のデータではありますが、何も情報が無いよりかはかなり状況としては改善されるものとなっています。
要するに、この値が大きければ大きいほどライバルが少なく医療充足ニーズが高い状態となっているので、そこで開業すれば成功する確率が高くなり、逆にこの値が少なくなってしまった場合は、ライバルが既にいるため飽和気味となっており、市民関心度も得られず開業には不向きであると言えます。
算出方法は、そのエリアの人口に受療率をかけ、それを科目別の競合医院の数に1を加えた数で割ったものです。これによって患者数を予測することができるので、その気になれば自分自身で計算することも可能でしょう。しかし、この調査を専門として行っているところもあり、レポート作成サービスを提供している会社もあるので、自分自身で計算するよりも、実際にそれらをサービスとして扱っているプロの方々に頼るのが最も安全です。ただし、会社によっては精度に差が出るので、どのようなデータが得られるのか、どのような数字になりそうなのかを事前に推察しておき、信頼できるデータとして入手してくれているのかを判断できる状況にしておくのがよいでしょう。
実際に入手できるデータでは競合他社がいるのか、人の流れはどうなっているのか、生活動線はどうなっているのかといったものを知ることができるので、これらの言葉の意味や状況把握能力を持ち合わせておくようにしましょう。
審査における範囲の考え方について
診療圏調査において気になることは、この診察圏の範囲がどうなっているかではないでしょうか。診察圏については非常にシンプルに考える場合は半径5kmといった範囲になりますが、車で移動した時到達するまでどの程度かかるのかといったケースも多いので、「距離」なのか「時間」なのかによって診察圏の考え方も大きく変わってきます。
距離の場合は同心円型という綺麗な円を描いた範囲にどのくらいの患者がいるのかを推察することになりますが、車到達時間型のような時間で考える場合は同心円のようなきれいな形ではなくいびつな形になるでしょう
それではまず、距離で考える同心円型の考え方について解説します。この同心円型における距離は半径1km前後という非常に短い距離になっていますが、科によってこの距離も多少前後するようです。例えば、内科のようなかなり多くの病院が立てられているものでは競合する確率がかなり高く、同心円の半径も小さく考えることが多くなっています。範囲を広げると予測される患者数を計算できる数式の除数、つまり競合医院の数がどんどん増えてしまいます。小さく考えるのが基本となるでしょう。
このような考え方から診療圏がどうなっているのかを考察していきますが、そこに住んでいる方々は「時間」や「距離」のみに縛られるものではありません。どういうことかというと、距離が離れていたとしてもその場所にショッピングモールがあったりするなど、高確率で行くことが多いところにある病院は行く確率が上がりますし、逆に近かったとしても一方通行の道が多くてそこにたどり着くのが難しいといった場所ではしり込みしてしまうものです。このような周辺状況を「生活動線」といい、この生活動線によって患者数は大きく変わってきます。つまり、診療圏というのは距離や時間のみで簡単に決められるものではなく、生活動線がどうなっているのかも調べて決めるものということです。
この調査は簡単にできるのか
この診療圏調査は、計算式といったものもあり比較的簡単に算出できると考えている方もいますが、従来のものはおおざっぱな分析でしかなく、もっと詳しい調査を行うのが正解となります。開業にはかなりの額のお金がかかってしまうものなので、より綿密に調査をするようにしましょう。
具体的には、競合相手の数だけではなく、その競合相手となっている病院の規模、病院の人気や医師のレベル、患者の数などの情報が必要となってきます。実際に競合相手の数が少なかったとしても、その病院の規模が大きく非常に人気があるところでは、太刀打ちできず無抵抗に負けてしまうこともあるでしょう。
そして、地元住民がどのような病院を求めているのかどうかというのは聞き込み調査といったものを行わない限り見えてこないことも多々あります。要するに実際に足を運んで地道に調査を行わなければ解らない部分が沢山あるということです。単純な計算のみなら、慣れている人が行えば3日もあればすぐに数値化してくれるでしょうが、それだけではわからないところがたくさんあるので、開業のためには足を使って地道に調査を重ねることも重要になってくるのです。
これははっきりいって、個人の力で調べられる範疇を超えているものであり、調査を行っている会社に調べてもらわなければ無理な領域です。そのため、調査を行っている会社に手伝ってもらった方がよいでしょう。それ以外にも人口動態調査や立地調査、地域経済の確認や、交通や気候といった自然環境がどうなっているのかといったデータも必要となるので、診療圏調査は厳密に行ってもらう必要があります。
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