ここでは泌尿器科でも、病院と連携してがん患者のフォロー、高齢者の尿トラブルをメインに診察するクリニックの診療圏調査と開業当初の患者数推移についてご説明致します。
基本的な部分では他の科目の診療圏調査と同様です。
- 1次診療圏および2次診療圏を設定する
- 同圏内の人口に受療率を乗じて、地域患者数を算出する
- 競合施設数+1(自院分)で除して、推計患者数(自院への来院見込患者数)を求める
加えて、ターゲットなる高齢者人口が、今後どのように推移していくのかを把握します。
さらに近隣のクリニックがどの疾患に力を入れているか、診療内容やコンセプトが同じか、違うかを確認し、競合となるかどうか見極めます。
例えば皮膚科も標榜していて、皮膚科の自費がメインとなっているクリニックもあります。複数科標榜していて、実は泌尿器科がメインの科目となっているクリニックもあります。性病・ブライダルチェック、EDに重きを置いているクリニックもあります。
また最近ではコロナウイルス蔓延の影響から、企業のテレワーク導入が増えている事も考慮する必要があります。2020年時点ではテレワーク導入企業は2019年の62万社から161万社に拡大、テレワーカーは100万人から997万人に増加したと言われています。
課題はあるものの、企業としては経費削減、従業員の多様な働き方に対応できる事からコロナウイルスの終息後も、テレワーカーの数がコロナのパンデミック前の数に戻る事は想像し難いのではないでしょうか。
都内でサラリーマンをターゲットにした場合、泌尿器科に限った事ではないですが、診療圏調査の昼間人口の数字をそのまま信用するのは、注意が必要であると言えます。
近隣の駅の乗降客数の推移もチェックすべきです。
泌尿器科クリニックは、患者心理を考えると、開業当初の患者数の立上は鈍い科目であると言えます。
それは、「尿」や「性器」に関わる疾患ですので、クリニックに行くのが恥ずかしい、通院を友人・知合いに見られたくない、知られたくない、夜尿症での通院をママ友に見られたくないという心理が働くからです。
自宅や生活圏から少し離れたクリニックを受診したいと思う患者がいる事も考慮します。
その他、中高年の男性患者が多い中、女性患者にとってクリニック内が過ごしやすい空間であるかどうか、クリニック名に「泌尿器科」を入れるかどうか、考慮したいポイントになります。
では実際に、当社で開業支援をしたクリニックの開業からの患者数の推移、プロット調査分析を行いましたのでご説明致します。
クリニックのコンセプトは前勤務先の病院とがん患者のフォローで連携し、前立腺肥大、高齢者の頻尿や夜尿症を主に診察するクリニックです。
立地は東京都下 主要沿線で住宅街を背にした駅前。
前勤務先病院との連携を考え、病院からもアクセスしやすい立地です。
診療圏調査では、性病をメインとしたクリニック、皮膚科も標榜していて美容皮膚科の比率が高いクリニックに関しては、競合強度を弱くしました。
その結果、1日55人の患者数が見込める調査結果となりました。開業から6ヵ月経過したクリニックの来院患者数の推移です。
開業後1ヵ月、2ヵ月は1日の平均患者数が10名あればまずまずです。徐々にではありますが、順調に患者数を増やしています。
(人/日) | 計画患者数 | 実績患者数 |
---|---|---|
1ヶ月目 | 9 | 10 |
2ヶ月目 | 9 | 13 |
3ヶ月目 | 12 | 19 |
4ヶ月目 | 15 | 20 |
5ヶ月目 | 20 | 21 |
6ヶ月目 | 22 | 28 |
次にプロット分析です。電子カルテに登録された患者住所から、どこの地域からの来院があるかを地図上に落しこみ可視化をします。
実際のデータは、クリニックの所在や集患状況が開示されてしまいますので控えますが、近隣の住宅地からの来院もありますが、やはり2つ、3つ先の駅周辺からの来院があります。
また、来院患者の年齢層を確認すると現役世代の比率は低く、高齢者が来院をしてくれている事が分かります。ターゲットとした高齢者が自身の生活圏、生活圏から少し離れた地域へ通院している事が分かります。
全国の泌尿器科クリニックに従事する医師数は、約2,000人と言われています。
当社では泌尿器科クリニックの開業支援実績も豊富にあります。
また、開業してから、どの様に来院患者数が推移するのか?患者1人辺りの単価は?どのように患者さんを集めるか? 等
実際にご支援した経験、データに基づき開業後も継続したご支援を致します。