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クリニック経営Tips/2024年度診療報酬改定/生活習慣病管理料
2024-07-03

2024年度診療報酬改定から考える
今後のクリニック開業について

~特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料へ

2024年(令和6年)度 診療報酬改定で、大きな話題となったのが「生活習慣病(脂質異常症、高血圧症、糖尿病)」が特定疾患療養管理料の算定対象疾病から除外となり生活習慣病管理料に1本化されたことです。
そこで今回は改定内容の解説と開業時におけるスタッフ採用と患者の待ち時間対策について提案させて頂きます。

生活習慣病管理料について

2024年度 診療報酬改定では、特定疾患療養管理料から生活習慣病が除外されたことによって、生活習慣病管理料への算定変更が必要となりましたが、2つの点数は算定要件が異なることから、すんなりと変更できるわけではありません。(図1に示したのが2024年6月以降の生活習慣病患者における診療報酬の算定点数になりますが、生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定しないと333点の減収となってしまいますので算定しない選択肢はないかと思います)

図1 2024年6月以降の診療報酬算定

改定前 2024年6月以降
特定疾患療養管理料を算定する場合 生活習慣病管理料(II)を算定する場合
再診料 73点 再診料 75点
外来管理加算 52点 生活習慣病管理料(II) 333点
特定疾患管理料 225点    
特定疾患処方管理加算2 66点    
処方箋料 68点 処方箋料 60点
484点 468点

出典:厚生労働省 保険局医療課資料より一部抜粋編集

特定疾患療養管理料は、管理内容の要点をカルテに記載するだけで算定できるのに対し、生活習慣病管理料は、【療養計画書】を作成し、患者へ説明、同意の署名が必要となります。つまり、算定に当たっての医療機関側の手間が大幅に異なります。また、療養計画書の作成に当たっては、医師および担当者(看護師、栄養士等)の対応が必要となり、チームとしての体制づくりが求められます。よって今後、内科を標榜し開業される先生方は患者指導に長けた人材を雇用することや、オペレーションの効率化を今までよりも考慮する必要があると考えられます。

まず今回の改定の基本的な考え方ですが、「生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、生活習慣病管理料について要件及び評価を見直すとともに、特定疾患療養管理料について対象患者を見直す」こととされています。
そのことから【生活習慣病管理料】の評価及び要件の変更が行われ検査等の費用を包括した現行の【生活習慣病管理料】を【生活習慣病管理料(I)】に名称変更し、検査等を包括しない【生活習慣病管理料(II)】が新設されました。
点数は(I)主病が脂質異常症の場合:610点、高血圧症の場合:660点、糖尿病の場合:760点と現行から40点増となっています。(図2)

図2 生活習慣病管理料

改定前 2024年6月以降
生活習慣病管理料 生活習慣病管理料(I)
1脂質異常症を主病とする場合 570点 1脂質異常症を主病とする場合 610点
2高血圧症を主病とする場合 620点 2高血圧症を主病とする場合 660点
3糖尿病を主病とする場合 720点 3糖尿病を主病とする場合 760点

出典:厚生労働省 保険局医療課資料より一部抜粋編集

(II)は333点と設定され、検査や注射、病理診断に加え、「外来栄養食事指導料」「糖尿病合併症管理料」「ニコチン依存症管理料」「診療情報提供料(I)(II)」など一部の医学管理料も出来高で併算定できるとされています。

「生活習慣病管理料I」と「生活習慣病管理料II」の違い

(I)は、注射及び病理診断の費用が管理料の点数に包括されるのに対し、(II)は、これらの費用が出来高算定できる点が異なります。その為、(II)は従来の特定疾患療養管理料と似た算定ができる項目となりこちらに移行されるクリニックが多いのではないかと推察されます。なお、両管理料ともに算定回数は1月に1回のみで、いずれかの管理料を算定後6か月間はもう一方の管理料を算定できないことから、「2か月に1回の採血検査実施時のみ(II)を算定する」等の対応はできないことにも注意が必要です。

療養計画書について

算定に際して、ハードルとなるのが療養計画書の作成、患者への説明、そして患者のサインとなることが予想されます。その為、療養計画書に関する変更点、療養計画書作成の進め方についてみていきます。
厚生労働省は、今回の改定で療養計画書を簡素化するとともに、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理を行うという要件を廃止とし、療養計画書については同管理料(II)を継続して算定する月において、計画書の内容に変更がない場合は交付する必要はないが、患者や家族等から求めがあった場合や「概ね4か月に1回」以上は交付するという取扱いが示されました。
簡素化された療養計画書の様式について、2024年6月からの変更点は以下の通りとなります(図3)。

図3 療養計画書
療養計画書について

出典:厚生労働省 保険局医療課資料より一部抜粋編集

① 検査・問診欄がなくなり、目標欄に統一されました。
② 血液検査の項目は、検査結果を手交することで記載が必要なくなりました。
③ 各項目の担当者氏名及び捺印が必要なくなり、医師の氏名のみでよくなりました。
④ 服薬指導、療養を行うに当たっての問題点、他の施設の利用状況の項目がなくなりました。
⑤ 継続用では、「患者が療養計画書の内容について説明を受けた上で十分に理解したことを確認した」という項目が新設。「なお、上記項目に担当医がチェックした場合については患者署名を省略して差し支えない」とされました。

このように全体的に療養計画書は簡素化されており、施設基準においても、「患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えない」とされており、全部の項目を埋める必要がないことが分かります。しかし簡素化されるとはいえ療養計画書の作成は必要となるため、看護師・管理栄養士等への適切なタスクシフトが重要となります。その為、冒頭で述べさせて頂いた人材雇用が大切になると考えます。

今後のスタッフ採用について

弊社も20年以上、開業支援のお手伝いをさせて頂いておりますが都内においては働き手の減少の影響か、看護師も受付・医療事務も、応募数が年々減っている実感があり「クリニックで求人募集すれば一定の応募があるのが当然」だった時代からの変化を感じています。応募が少ないということは「よい人材」に巡り会える可能性が下がってきているということです。
このことから最近、開業する院長には自身の知り合いのスタッフ採用だけで済ませるケースも出てきています。いわゆる縁故採用ですが、一緒に働いた経験のあるスタッフは人柄・能力も把握しており安心感もありますし、直接の知り合いでなくても知人の紹介であればある程度の安心感があると言えます。今後、内科領域クリニックですと生活習慣病患者などスタッフ全員で指導していく体制作りが必要ですので院長とスムーズなやり取りができなければ診療効率が悪くなるのは必然です。
今後、開業を検討される際には、知り合いのスタッフなどに早期に声をかけておくのも1つの手段となります。ただ院長とスタッフが同じ病院に勤めている場合に「引き抜きされた」といったトラブルにならないよう病院への配慮を忘れないよう注意もするべきです。
しかしすべての先生が縁故採用を優先できる状況とは限りませんので求人広告、自院のホームぺージなどを使って募集をかけていくこととなります。
その際、求人を募集する前に賃金や勤務時間など、労働条件について決めていきます。この労働条件ですが一定の目安に比べて条件が良くないと、せっかく求人を出しても良い人材は集まってきません。多くの求職者が目安として比較するのは、近隣にある医療機関になります。より良い人材を確保するためにも、近隣医療機関の労働条件を調べて見劣りしないように設定していくべきです。賃金が高ければ必ず良い人材が集まるとは限りませんが、低く設定した時より応募者数はアップします。
参考までにクリニックで働く看護師の年収相場について、ご紹介します。(図4)

図4 クリニックで働く看護師の年収相場

開設者 年収 月収 賞与
個人 372万7,845円 26万1,851円 58万5,622円
医療法人 397万9,186円 28万2,830円 58万5,223円

出典:厚生労働省 第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)より一部抜粋編集

あくまで全国平均となりますので、近隣クリニックの募集条件を確認して募集をかけていくことをお勧めいたします。
弊社の開業支援はスタッフ採用についてもサポートさせて頂きますので、先生の開業後の運営がスムーズになるような人材を雇用できるよう全力でサポートさせて頂きます。

クリニック待ち時間に対する対策

更に今回の診療報酬改定により療養計画書作成が求められることになりましたので今までよりも指導時間がかかることになります。その為、1患者あたりのクリニック滞在時間・待ち時間が増えることが予想されます。
クリニックの待ち時間が長いことは、患者にとって大きなネガティブ要素のひとつでありクレームや悪い口コミに直結しやすい事項です。日本医師会総合政策研究機構による「第7回 日本の医療に関する意識調査」によると、受けた医療の内容別満足度が最も低かった項目は、待ち時間でした。(図5)

図5 受けた医療の内容別満足度(n=1,132)

満足していない項目 比率
待ち時間 31.2%
治療費 14.9%
診察日や診察時間 12.5%
検査や画像診断 7.5%
医師の説明 7.4%
医師の投薬 7.4%
医師の態度や言葉使い 5.7%
看護師の態度や言葉使い 5.1%
医師の知識や技術 4.8%

出典:日本医師会総合政策研究機構 第7回日本の医療に関する意識調査より一部抜粋編集

その為、クリニック側で待ち時間を短縮させるための取り組みを行うことで、できるだけネガティブな評価を減らしていきたいものです。
対応策として予約システムやWeb問診システムによる来院前の事前問診、電話自動応答システム、自動精算機の導入やキャッシュレス決済アプリによる後払いなど様々な待ち時間短縮に寄与するシステムの導入が考えられます。

【診療科別の導入例】
<内科>
予約システム、WEB問診、自動精算機
(慢性疾患の患者様の滞在時間を短縮し受診に対する抵抗感を軽減し「ちょっとの合間に受診できる」という体制の構築)

<整形外科>
予約システム、自動精算機、再来受付機
(リハビリ患者様の回転率を上げる)

<小児科>
予約システム、電話自動応答システム、キャッシュレス決済アプリ
(予約に関わるのは保護者であり、その多くはスマートフォンやインターネットに慣れた世代ですので、積極的にシステムを活用し運用を組み立て)

今後の開業においては待ち時間の短縮、院内業務を効率化させるシステムの導入は必須となると考えられます。別記事ですが弊社が支援したクリニックの事例も紹介させて頂いておりますので是非そちらの記事も参考にして頂きたく思います。
システムの組み合わせの、ご提案により患者様がスムーズな診療を受けられるようなクリニックを一緒に作っていきたいと思いますので是非、弊社の開業支援メンバーにお声がけください。

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