新規開業する際に外国人患者の受入れを検討する場合の
日本における在留外国人数は2012年から2019年まで右肩上がりに増加していており、コロナ禍の期間で一度在留外国人数は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症流行の影響緩和に伴い、再び増加しています。
2023年末の在留外国人数は、341万992人(前年末比33万5,779人、10.9%増)で、過去最高を更新しました。
また、日本政府観光局(JNTO)の2024年1月の発表によれば、2023年の訪日外国人数は2500万人を突破し、コロナ禍前である2019年の約8割を記録しました。
訪日外国人観光客数は、コロナ禍の落ち込みから回復傾向にあるとわかります。
在留外国人や訪日外国人の増加に伴い、今後医療機関が外国人の来院患者に対応する場面も増えてくると考えられます。
令和6年厚生労働省の医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書によると診療所において外国人患者を受け入れの有無について「あり」と回答した医療機関が約4割占めています。また、「あり」と回答した診療所のうち9割以上が在留外国人を受け入れていると回答しています。(図1)
(出典:医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書 より、一部抜粋編集)
厚生労働省の調査によると外国人患者を受け入れている医療機関での延べ患者数が4,675人であり、平均患者数が一施設あたり8.33人となっております。
国別でみた場合、中国の総数が875人、アメリカ合衆国が812人となっており外国人患者の中で中国人及びアメリカ人が最も数が多いことがわかります。(表1)
(出典:医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査結果報告書 より、一部抜粋編集)
外国人患者に対応するためには、外国語を用いた問診や診療、治療の説明を行う必要があります。しかしながらクリニックに限らず病院を含めた医療機関では医療通訳を行う専門スタッフが配置されていないケースがほとんどです。
ここからは外国人患者に適切な対応をするための、対策を提示していきたいと思います。
まず、受付ではスムーズに対応できるよう、問診表の質問を予め外国語に訳したうえで記載しておくことです。加えて受付で外国人患者とのやり取りが発生するケースも想定されるため以下受付で使えるいくつかの例文を紹介します。(※英語、中国語)
日本語 | 英語 | 中国語 |
---|---|---|
今日はどうなさいましたか? | What are your symptoms? | 你有什么症状? (ニイヨウ シェンマ ジェンジュアン) |
こちらのクリニックにかかったことはありますか? | Have you visited the clinic before? | 您是第一次来这个医院吗? (ニイシイ ディイイーツー ライジュウジャー イーユアンマ) |
日本の保険証はお持ちですか? | Do you have your Japanese insurance card? | 您有日本的保险卡吗? (ニイヨウ ルーベンダ バオシエン カアマ) |
こちらの問診票をご記入ください。 | Could you please fill in this medical questionnaire? | 麻烦请填一下这张就诊表。 (マーファン チンティエン ジュアジャンジオウジェンビャオ) |
厚生労働省のホームページには【外国人向け多言語説明資料】に12ヶ国語(英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語・ヒンディー語・インドネシア語・ネパール語・タガログ語・タイ語・ベトナム語)で受付問診、科目ごとの問診票、会計などで活用できる外国人患者向けの資料もありますので自院の外国人患者の状況や傾向に合わせて活用してみるのも良いでしょう。
厚生労働省 外国人向け多言語説明資料一覧
また外国人観光客や外国人が多く居住するエリアで診療を行う場合は院内表示や一部のサインを外国語表示にし、院内案内をわかりやすくすることで、わざわざスタッフが案内しなくてもスムーズに受診できるよう工夫している医療機関もあります。
また、最後に会計・支払いについてですが、在留外国人の場合は現金での支払いは可能ですが訪日外国人の場合は普段現金を持ち歩かない国も多くなってきております。
未収金の防止という観点からもQRコード決済のようなアリペイなど日本にも少しずつ浸透してきている支払方法を検討し、通常のクレジットカード以外での支払方法を導入することで未収金のトラブルをなくしていくことができるのではないかと考えております。
まとめ
新規開業する際に外国人患者の受入れを検討する場合の事前準備として
・ 外国語での(英語など)クリニックのチラシの用意(診療内容や診療時間が載っているもの)
・ 多言語対応の問診票の用意
・ ホームページに外国人患者対応の文言を掲載
・ 外国語での院内サインの表示
・ 決済方法の多様化の検討(銀聯カード、アリペイなど)
弊社ではクリニックでの外国人患者の受入れについてのアドバイスも実施させていただいておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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